ティアの罪

(嗚呼・・・)

落ちる

(貴方も・・・「あい」を・・・選ぶんですね・・・)

落ちていく

 暗く深く、冷たい水底へと、落ちて・・・

 

「あい、には、サニーにはなれない」

「でも、私は私らしく」

私、ステップを踏んでいたのにいつの間に踏み外してしまったみたい

ぐらり、身体が傾いて、落っこちて

真っ逆さま

愛して、ほしかった

いちばん、いちばんに

あのこそのこ、誰よりも

いちばんに

涙がこぼれる

ぬぐう手もない

いつの間に体は芯から冷えて

必死に手を伸ばしても、光さえ掴めなくなっしまうよ

嗚呼・・・私・・・終わっちゃうの・・・?

 

手を―――

手を伸ばしてーーー

 

ゆらゆら、水底から見えたものはーー人魚?

 

はっしと私の手を掴んだその手が温かかったことを覚えている。

人魚は泣いていた、大粒の涙をこぼして。

「――どうして――

 貴方が泣いているんです、ティアさん?」

「自分でもわからないよ・・・

 セイナのばかばか」

ぐす、ぐすん、尚も泣き続けて大粒の涙がきらり、光る。

嗚呼、そんなに泣いたら――跡が残ってしまう。

「ティアさん、もう泣かないで、ね?」

必死になだめすかすも、人魚の涙は止まらない。

貴方が泣くことなんてないのにーー泣いてほしくなんてないのになーー

人魚は私のために泣いているのではないのだけれど

そう、錯覚してしまう

そう、思いたくなる

 

ねえ、貴方の罪は何ですか

私の罪はね、可愛い人魚を泣かせてしまったこと

これ、極刑